自動車事故の被害者は、加害者に過失がある場合、最低補償として自動車損害賠償保障法(以下自賠法)に基づいて損害を請求することができます。損害賠償の手続きができない場合、被害者は国に対して政府の保障事業による損害補填を請求できることになっています(第72条1項)。規定からすれば、逃げた貨物自動車の分も請求できそうです。
次に、2台以上の車両が加害者となった場合ですが、どちらも自賠責保険がついてれば、各自動車ごとに自賠責保険の最高限度額まで請求できます。あなたの場合、2台以上の自賠責保険付きの車両が加害車両となったと同じ取り扱いがなされると思うのが自然な解釈かもしれません。
ところが、最高裁判所は、一台でも自賠責保険付きのの車がある場合、第72条1項による政府保障事業による保険金は支払われない、と判断しました。その理由は、「政府の保障事業による救済は、他の手段によっては救済を受けることができない被害者に対し、最終的に最小限度の救済を与えるの趣旨のものである」ということです。
この考え方によれば、貨物自動車への政府保障事業による損害補填請求は認められません。
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