水津正臣法律事務所
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法律救急箱

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■事故・賠償トラブル

責任追求される場合を知るのは事故防止につながる

事故は相手から一方的におこされるものですから、突然事故に巻き込まれることもあります。自分が悪くないのに損害をこうむるわけですから、原則として賠償を請求できるはずです。

しかし、だれに対して賠償できるかは、簡単でない場合もあります。反対に、自分が損害を与えたわけではないのに、被害者から賠償請求をされる場合もあります。

どんな場合に責任追及されるかを知ることは、一面では事故予防の対策にもなるのです。ぜひ、ここで紹介する事例を参考にしてください。

なお、当ページでご紹介しきれない事例は、書籍「まさかのときの法律救急箱」にてご紹介していますので、そちらもぜひ参考にしてください。

1 プライバシーの侵害 住民票を無断移動し、保険証を交付。こんな事件を防ぐ方法はあるか?
2 未成年への淫行問題 16歳の少女と深い関係に。彼女の両親が警察に訴えるというが
3 公営物での事故死の
損害
市営の海水浴場で子供が溺死した。市に損害賠償を請求できるか?
4 ペットによる傷害致死の損害賠償 闘犬に襲われて子供が死亡。資力ある犬小屋の所有者に責任を追及したい
5 いじめの責任問題 中学生の息子が“いじめ”でケガを。相手の親と学校の責任はどうなる?
6 交通事故の賠償問題 乗用車と衝突して息子が事故死。原因の逃亡貨物車にも自賠責を請求したい
7 交通事故の賠償問題 友人名義の車で事故。友人の任意保険からお金が出るか?
8 交通事故の賠償問題 友人が運転した車で息子が事故死。自賠責保険の支払いを拒否された
9 交通事故の賠償問題 加害者でもある運転手の妻がケガ。全額賠償する責任があるのか?
10 交通事故の賠償問題 5年前の交通事故の相手が。今になって損害賠償・慰謝料を請求
11 賞与支給に関する
トラブル
賞与の対象期間をきちんと働いたのに、退職したからと支給を拒否された
12 駐車違反に関する
トラブル
違法駐車の疑いで逮捕、反則金を納めたが、処分を取り消してもらいたい
13 傷害事件での賠償問題 従業員の暴行の責任、店主も負う必要があるのか?

中学生の息子が“いじめ”でケガを。相手の親と学校の責任はどうなる?
監督業務を怠ったかどうかで、親に対しては責任追及できる
 
  1. 傷害を加えた生徒自身に対する請求

    民法712条によると「未成年者が他人に損害を与えた場合、その行為の責任を弁識するに足りる知能(=責任能力)を具えていないときは賠償の責任は負わない」と規定しています。中学生ともなれば、どの程度のいじめやけがをさせることが許されるかどうかは判断できると思いますので、責任追及をすればおおむね認められると思います。ただ、実際の事件の場合には、子供には資力がないので、親に対して損害賠償をすることになります。

  2. 親に対する請求

    民法714条によると「712条によって未成年者が責任を負わない場合は、監督すべき法定の義務のある者が責任を負う。但し、監督業務(=常日ごろ、子供に反社会的な行為をしないように十分注意をしているかどうか)を怠らなかった場合は免責される」と規定されています。ただし、監督業務を怠らなかったと判断されるケースはあまりないと思います。ですから、本件も親の責任追及はまず認められるでしょう。

  3. 学校に対する請求

    問題は学校(教師)の監督業務の範囲です。一般的見解としては、監督業務を学校における教育活動、またはこれと密接不離の生活関係に限られるとしています。授業時間中やクラブ活動のときは責任が認められるでしょうが、放課後ともなると、むしろ否定される可能性の方が多いでしょう。

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乗用車と衝突して息子が事故死。原因の逃亡貨物車にも自賠責を請求したい
国に対して損害填補を請求できるが、加害車両が2台以上の場合は問題あり
 

自動車事故の被害者は、加害者に過失がある場合、最低補償として自動車損害賠償保障法(以下自賠法)に基づいて損害を請求することができます。損害賠償の手続きができない場合、被害者は国に対して政府の保障事業による損害補填を請求できることになっています(第72条1項)。規定からすれば、逃げた貨物自動車の分も請求できそうです。

次に、2台以上の車両が加害者となった場合ですが、どちらも自賠責保険がついてれば、各自動車ごとに自賠責保険の最高限度額まで請求できます。あなたの場合、2台以上の自賠責保険付きの車両が加害車両となったと同じ取り扱いがなされると思うのが自然な解釈かもしれません。

ところが、最高裁判所は、一台でも自賠責保険付きのの車がある場合、第72条1項による政府保障事業による保険金は支払われない、と判断しました。その理由は、「政府の保障事業による救済は、他の手段によっては救済を受けることができない被害者に対し、最終的に最小限度の救済を与えるの趣旨のものである」ということです。

この考え方によれば、貨物自動車への政府保障事業による損害補填請求は認められません。

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友人が運転した車で息子が事故死。自賠責保険の支払いを拒否された
単なる同乗者でないので他人としての救済は受けられない
 

自賠法第3条は「自己のために運行の用に供する者(運行供用者)は、その運行によって他人の生命または身体を害したときは、責任を負う」と定めています。この責任の発生によって被害者は保険金を請求できる(自賠法16条第1項)のですが、ここでよく「運行供用者」と「他人」との範囲が問題となります。

今日ほぼ確立した裁判所の考えは、被害者に事故防止の可能性があれば、実際に運転する人が別人であっても、被害者はその運行者との関係で他人であるとはいえないとしています。
つまり、事故防止の可能性がある者が事故によって自らが被害者となっても、自賠法3条の他人としての保護は受けられないという考えです。

息子さんは運転手の友人とともに事故者を支配していたものとみられ、単なる同乗者とと判定はできないというわけです。
保険会社はこのような考え方で保険金の支払いを拒否しているのです。


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